2005年2月9日のワールドカップ・アジア最終予選と2011年9月2日のワールドカップ・アジア3次予選を現場で(日本側だけど)見た身としては、表紙だけで泣ける一冊。
そして久々に、「自分は在日コリアンだ〜」と再認識した一冊。
慎 武宏
朝日新聞出版 (2013-06-07)
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夢は叶う(꿈은 이루어진다)って話
同級生のアン・ヨンハの言葉。元々は日韓ワールドカップの時?の韓国側の何かのフレーズ(記憶曖昧)。
2005年2月9日のワールドカップ・アジア最終予選、ヤフオクでゲットしたチケットで、会社の同期と4人でさいたまスタジアムに行った。
もちろん日本側の応援席で日本を応援してたけど、北朝鮮の国家が流れた時は、ちょっとじ〜んと来た。
同級生が出場する試合会場のスタンドで애국가(愛国歌)を聞くなんて、夢にも思わなかった。
(余談だけど、帰りに同期と「勝ってよかったね〜」なんてキャッキャしてたら、朝鮮学校時代の同級生とすれ違って、若干気まずかったりもした)
(ってテセも本で言ってた気がする)
だから、チョン・テセが、前回のワールドカップ・ブラジル戦の前に、国歌斉唱のタイミングで号泣してるのを画面で見て、同じく号泣した。
まさか、朝鮮学校出身の在日コリアンが(しかもヨンハは同級生!!)、ワールドカップの舞台にたつなんて夢にも思わなかったよ。
なんなんだろう。子どもの頃、漠然と、「自分は日本人じゃないから」を理由で諦めたことが多かった気がする。些細なことなんだけど。
いや、違うなぁ。自分が諦めたというよりは、「大人たちの差別体験」が刷り込まれてたのかも。それによって「たぶん自分もダメなんだ」と思うことが多かったのかもしれない。
書いてて思ったんだけど、負の連鎖ってこういうことなのかもね。
フィリピンの貧困層は、負の連鎖から抜け出せないって話をよく聞くんだけど、親とか周りから「無理」とか「ダメ」とか四六時中言われたら、そりゃ明るい未来なんて描けないよ。
私たちも、学校や親、親戚から事ある事に差別体験を聞かされて、「そういうモンか」「日本人怖い」「差別されたくない」って思うようになってたし。
だから、日本社会にいざ飛び出てみたら最初は戸惑うんだよね、朝鮮学校出身の人って。本に取り上げられていた人みんながそう思ってたのも、そういうことなんだと思う。
時代が変わった、と言われたらそれまでなんだけど。
確かに親の世代に比べると、いい時代になったと思う。
日本の大学進学も推薦でサクッと決まったし、就職差別も全然なかったし(ITだからか?他の業界は知らない)。
今までの人生、差別体験がまったくなかった訳ではないけど、傷の舐め合いしててもつまらないし、正直「井の中の蛙」にはなりたくないと思ってた。実際飛び出てみて、そうとう飛び出てる気がするけど、それなりになんとかなってる気がする。
飛び出す勇気がある朝鮮学校出身の在日コリアンはどんどん外に飛び出るといいよ。どうにでもなるよ。
李忠成の帰化は、猛烈な反対をする人もいたらしいけど、そもそも他人の人生に口出しするなってカンジだし、在日ってアイデンティティを持って青いユニホームを着ている人がいるってことだけで、なんか、嬉しい。だから、来年のワールドカップはぜひ代表に選ばれて活躍して欲しいな…
アイデンティティ的な話
仕事柄、つーか日系企業だからどうしても「日本クオリティ」「日本人対応が可能」をアピールすることはあるし、日本のお風呂とご飯は恋しいし、家族がいるのは日本だし、便宜上日本国籍取ってもいいかもしれないとは思うんだけど、こっちで、日本にいた時以上に「日本人と同じじゃん」と言われるたびに「違う!」と思うんだよね。つーか日本人じゃないし。
「◯◯語を話す=◯◯人」
が常識な人、世の中に多すぎる。
結局のところこれがデファクトスタンダードなのか?(なんだろうね)
たぶんこっちの日本人は善意で「日本人と同じじゃん」って言ってくれるんだけど、
ほんと違うんです。
全然違うんです。
日本人は日本に帰ったらパスポートに「帰国」ってスタンプだと思うんですけど、私は「再入国」ってスタンプなんです。ホント違うんです。幸い、今のところ日本の(特別)永住権はあるけど、たまに日本に帰ってあるものを更新しないと永住権もなくなるんです。そういう人種なんです。
一方、「韓国人」っていう自覚はこれっぽっちもないんです。
住んだことないし。
国籍を韓国に変える前は「朝鮮」っていうことになってたけど、もちろん北朝鮮にもなんの愛着もない。あの国のせいで(ピー)と思ったことも多々。
私は、世界中にほんの数十万人しかいない、しかも朝鮮学校に通ってた人なんて超〜〜〜マイノリティなんだけど、私はそういう在日コリアンなんです。そういう民族なんです。
そういう、こっちの日本人、韓国人、フィリピン人誰に言っても理解されないちっぽけな思いを悶々と抱えてて、この本読んで(たまに泣きながら)、「在日魂」ってあるよねぇって思ってちょっと安心した。
で、たまに「I am not Japanese」と主張すると、フィリピン人の同僚から「日英」の翻訳を頼まれなくなったりして、いや〜日本で34年住んでたし、広報やっててプレスリリースとか書いてたんだし、とも思うwww
面倒ですいませんwww
まぁ、こういうマイノリティもいるんだね〜と少しでも理解が広まればいいかな、と前向きに捉えることにしましょう。
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