Granma熊坂さんの、フィリピンでの活動を追う。
その2は、実際の彼の活動について。
Granma熊坂さんの活動の鍵は「蚊帳」
(1)で、CARD Bankの活動はよくわかった。ところで熊坂さんは、ここで何をやっているのだろうか。
いろいろ突っ込んで聞いてみた。
− 普段は何をやってるんでしょうか。
「Granmaは、貧困と飢餓の撲滅や幼児死亡率の削減、HIV/エイズ、マラリアその他疾病の蔓延防止などを掲げている『ミレニアム開発目標(※)』の達成に貢献する存在を目指しています。フィリピンでの最初のプロジェクトとして、日系企業とCARD Bankと連携し、蚊帳の製造・販売を行うプロジェクトを進めています」
※ミレニアム開発目標についてはこちらもご覧ください。
http://www.undp.org/content/tokyo/ja/home/mdgoverview/mdgs.html
このパッケージはサプライヤーが他国で使用しているもので、今後フィリピン仕様にローカライズする。 |
− 蚊帳??
「フィリピンの田舎は、マラリアやデング熱といった、蚊を媒介して伝染る病気が少なくありません。先ほどCARD Bankの話で、薬を適正価格で販売していると話しましたが、予防という観点もとても重要で、蚊帳はこれらの病気の予防にとても有効なんです。また、バリューチェーン上にローカルの女性たちをどんどん組み込むことで、彼女たちの所得向上にも貢献できます」
蚊帳は、大人2名と子どもが入れるサイズで700ペソ(日本円でだいたい1500円)で販売中とのこと。
所狭しと並ぶ蚊帳。丸い枠がついているものは、カーテン向けのものだそう。 |
蚊帳は、例えば下の写真中央、電柱の奥の家。窓がない。
あのような家、住人が主なターゲットだそうだ。
余談だが、写真上、右の赤い屋根の家はこの界隈を見渡しても特別に目立つ。
赤い屋根の家を中心に撮ったのが下。
こういう家は、家族の誰かが出稼ぎに出ていて、その人の海外送金で建っていることが多いらしい。窓がない家が並ぶ通りに唐突にこんなキレイな家があると、逆に目立って仕方がない。
話を戻す。
− この蚊帳はどこでどうやって売ってるんですか?
「地域ごとに担当がいて、彼女たちに売ってもらっています。彼女たち自身がCARD Bankの小口融資の借り手だったりするのですが、CARD Bankの定期MTGでプレゼンして受注取ったり、もちろん近所のお宅に売る、ということもあります。私はせいぜいそのサポートをしてあげるくらい。
今後は、サリサリストア(フィリピンの小さな個人商店のこと)に卸したりして販路を拡大したいですね。」
− 網状態から実際の蚊帳には、どうやって作ってるのでしょうか。工場などに発注してるんですか?
「いえ、これもCARD Bankの借り手の女性たちに、ミシンで縫ってもらっています。」
− そういう人々はどうやって見つけるんですか?
「CARD Bankの小口融資の借り手の女性です。彼女たち向けのCARD Bank主催の集会に顔を出したり、CARD Bankに手伝ってもらって探したり、という感じで探して、もちろんじっくり話し合って、信頼関係が築ける人にお願いしています。」
ここで熊坂さんの仕事を整理してみよう。
フィリピン国内の日本人スタッフは彼1人。
蚊帳となるネットの仕入れ、縫製、営業、販売、ブランディング、ロゴ作成、、、などを1人ですべてやっている訳ではない。
CARD Bankの小口融資の借り手の女性たち向けの定例に足を運んだり、CARD Bankの協力を受けたりして、「ネットから蚊帳に縫製してくれる人」「蚊帳を実際に売ってくれる人」「ロゴのデザインをできる人」などを探してお願いしている。売り子さんへのセールストークのトレーニングもやっている。もちろん蚊帳となる網の仕入れも。
ヨウはプロマネなのだ。
直近は、この蚊帳のブランディング、ロゴ制作もしているらしい。
もちろん、すべては英語で。
− もともと英語得意でした?
「いえ、全然そんなことないです。昔、世界一周旅行をしたことがあって、その経験のおかげで度胸だけはつきました。今でも英語の勉強はします。たまにw」
− ずっと日本人1人だし、英語だし、寂しくなりません?
「そういう時は、日本の仲間にSkypeしますw」
逞しい。
そんな熊坂さんのストレス解消スポットがある。
「CARD Bankのオフィスの3Fにジムがあって、たまにここで発散しています」
ちなみにこの建物に宿泊設備もあって、ここで寝泊まりしているらしい。
逞しいなぁ。
「そうそう、ここから1時間くらいの場所に、蚊帳を縫ってくれているおばさんがいるんですけど、よかったら会いに行きませんか?」
せっかくなので好意に甘えることにした。
目指すは、、、どこだ?
「ここから、バスとトライシクルとジプニーで向かいます。だいたい1時間位ですね」
よっしゃ。行けるところまで行くぞ。
このシリーズについて
(1)現場はどこだ?CARD Bankってなんだ?(2)Granma熊坂さんの活動の鍵は「蚊帳」
(3)蚊帳を実際に製造している(縫っている)おばさんに会ってきた
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