「マレーシアの自宅でリモートワーク x 仕事中の息子の面倒は住み込みメイドに」という環境で働いています。
「住み込みメイドに子どもの面倒を見てもらいながら働く」はこれだけで一晩語れるくらいネタがあるんでいったん置いといて、まずはリモートワークだけにフォーカスして書いてみることにします。
リモートワーク導入に興味ある人だけでなく、リモートワーク自体に懐疑的な会社さんに読んでもらえたらいいな。
以下の順で書いてみます。
・背景(私の仕事など)
・環境(私のデスク、Wifi速度、Hangout、便利な機材、勤怠ルールなど)
・リモートワークのために追加で買ったものの有無
・自主的に心がけていること
・仕事に対する意識で変わったこと
・サボりたくならない?
・メリット
・デメリット
■背景1:私の職種/仕事について
まずは職種について。
スマホアプリを開発している会社で、ちなみにYOYOって言う会社で東南アジアで一番イケてるスタートアップだと私は思っていていま急成長しているんですけど、ってそれはさておき、YOYOでプロジェクトマネージャー/スクラムマスターをやっています。あとQAチームのマネージャーも。
海外のスタートアップだからかはわかりませんが、会社/プロダクト/労働環境をよくするためのトライアンドエラーはウェルカムな風潮。
次に仕事について。
プロマネとしてスケジュール・進捗管理はもちろんなのと、要求と実際の仕様に矛盾がないか、チームAとBで認識に齟齬がないか、ボールが宙ぶらりんにんってないか、見落としているものはないか、などなどとにかく顕在化していないリスクに早めに気づいて潰したり絡まっている糸をほぐすことで、リリーススケジュールを守る/リリース直前やリリース後に炎上しないようにするのが私の仕事です。
もう少し詳しい仕事内容はこちらをどうぞ。
■背景2:社員が、リモートワーカーと働くことに慣れている
もともといろんな国に拠点がありメンバーが散らばっているので、「チームメンバーの一部が自分のオフィスにいないこと」に社員みんなが慣れています。というか気づいたらそれが普通になっていました。もちろんGoogle Hangout(*)越しにmtgすることも抵抗ありません。
* Google Apps…じゃなくて今はG Suiteか。そのG Suiteを使っていることもあり、ビデオ通話は基本的にGoogle Hangoutを使っています。
また、福利厚生の一環で「月に2回までリモートワークOK」というルールもあり、宅急便を受け取りたい日や連休明けで渋滞がひどそうな日は自宅で働けるようにもともとなっていました。
そんな環境で、私自身が2年以上、リモートワーカーがいることを前提に各種プロジェクトをマネジメントしていて、mtgをファシリテーション(StandupやRetrospectiveなどのスクラムイベント)していました。
オフィスにいない人にも話を振るとかは意識的にやっていましたし、重要な話はその場にいる人だけで口頭で会話して終わるんじゃなくてSlack(*)で、という下地はできていました。
* 社内のコミュニケーションツール
ほかにも、リモートワーカーともチームワーク?一体感?を出せるように、いろいろ工夫を重ねていました。例えばこんなのとか。
・他拠点のオフィスを一望できてリモートワーカーの寂しさが軽減するといいなぁと思って試していること
・クアラルンプールからリモートでレトロスペクティブをホストできないか思案中
本当は「みんなで同じオフィスで働くのが一番効率いい」と思っていたけど、そうも言ってられないのでトライアンドエラーを繰り返しながらやっていた上記のことが、将来の自分のためになるとは露程にも思っていませんでした。
■環境1:私のデスク
さて。
ここからは、実際にやっているリモートワークについて書きます。
まずは私の仕事環境。
ダイニングテーブルで仕事しています。
視界の先に鏡がありますが、これは、右の部屋のドアを空けると息子の姿が見える、という理由でこうしています。
リビングと息子の部屋にホームカメラも導入していて、ドアを締めてても息子の様子は見えるんですけどね(その様子はこちら)。
パソコンはMacbook Air 13インチ(2015年モデル)。
右は2010年にもらった世界に1つしかないiPad2。これでGoogle Hangoutに入りっぱなしにしといて、社員みんなとすぐコミュニケーションできるようにしいます。
自宅のWifiはこんなレベル。
先進国日本にいる方には「何この遅さ、昭和?」って感じでしょうが、もう5年も東南アジア新興国にいるんで、慣れました。つーか2桁出てるだけマシです。
こんな低速でも仕事できてます。
さて、お次はiPadで繋げているGoogle Hangoutについてもう少し深掘りします。
■環境2:みんなを繋げるGoogle Hangout
各オフィスは1台ずつ、オフィス全体を見通せるような場所にパソコンを置いてそこからHangoutにログイン、リモートワーカーは各自がHangoutにログインするというルールになっています。
私はたまたまiPad2を持っていたので、それをHangout用にしています。
(リモートワーク始める前までは、ジムで動画を見るためだけのデバイスでしたw)
これ、リモートワーカーにはオフィスが一望できてめっちゃオススメです。
なんでかというと、
・自分もオフィスにいる錯覚
・オフィスの人たちが、席にいるか否かがわかる
んですよ。
前者に関しては、モクモクと集中できるタイプにはむしろこういうのって邪魔かもしれませんが、私は寂しがり屋なので、こういう「みんなと一緒にいるような錯覚」が割と大事だと気づきました。
(なので、仕事するパソコンじゃなくてあえて別の端末でHangoutにログインし、視界の片隅にオフィスが見えるようにしています)
後者については、席にいるかいないがわかると便利なのは特にフィリピンオフィス。
なんでかというと、フィリピンオフィスだけは10-16時がコアタイムのフレックスなので、オフィスにいるいないを可視化しておかないと、16時以降は「やっべー、◯◯さんってもう帰っちゃった!?」みたいなことが起こるんです。
たとえばある日の18時すぎ…
フィリピンオフィスは渋滞回避のために早めに来て早めに帰る人が多いので、18時にもなるとほとんど人がいません。
この状態、オフィスにいれば無意識にわかるんだけど、リモートワークしていてHangoutも繋げていないと、話しかけたい同僚が帰っちゃったか否かわからないじゃないですか。
なので、iPadで「あ、もういない」ってのがわかるととても助かるんです。
ほかにも、「ちょっと▲▲▲さんに聞きたいことがあって…」ってときにSlackしてなかなか返事がこないと不安になったりしません?そんなときにGoogle Hangoutでオフィスの様子を見れると、「あ、離席中か」とか「今◆◆さんと話し込んでるからしょうがない」ってのがわかって助かります。
姿が見えても、なんとなく「集中してそうだから、あとでいいや」って思えるんですけどね。
普段マイクはmuteにしていますが、ちょっと用事があるときにunmuteして「ねぇねぇ●●さーん」と話かけたりもできて、これも何気に便利です。オフィスで誰かに話しかける感じと大差ない。 逆に他拠点のメンバーから話しかけられることもあります。「この画面のこの機能について…」と相談されることも。Hangoutだと画面見せながら会話もできるから、文字ベースのコミュニケーションよりも便利。
自分に関係ない呼びかけも耳に入りますが。それは気になりません。
オフィスにいれば人の話し声が聞こえるんだから、そういうモンかなぁーと。
オフィスにいる人にとっても、Hangout越しに私の姿が見えれば「仕事している」ように見えているはず。 違うフロアで働いているのと変わらない距離感だといいな。
フィリピンオフィスのGood & Newに参加したときに撮ったもの |
■環境3:あると便利な機材?
これはフィリピンオフィスだけなんですが、Jabra(スピーカー)、Yeti(マイク)を導入しています。
以前はJabraでスピーカーとマイク双方を兼ねていましたが、マイクとしての機能がちょっと弱く、Yetiも導入することにしました。
そこそこ離れていても音声を拾ってくれるので、けっこう便利です。
Jabra 2013-02-15
Blue Microphones Blue Microphones 2015-01-29
Hangoutをリモートメンバー交えてやるようになった当初、音声はJabraだけだったんだけど、音声を拾うのに限界があって、Yetiを買ったのでした。
Yetiでも不十分なときあるけどね。
あとは、リモートワークとは関係ないんですが、このイヤホンを使っています。Hangout越しに話をしながら冷蔵庫の飲み物を取りに行けたりするのが何気に便利。
息子の誤飲が怖いので、仕事中にしか使っていません。
■環境4:勤怠は内製アプリでログイン/アウト
同僚が作った勤怠アプリで、リモートワーカーだけでなく全社員がこれで出退勤をつけるようになっています。
■リモートワークのために追加で購入したものの有無
ありません!
G SuiteもSlackもJiraも(あとなんだっけ)もともと有料プランを使っていますが、今回のリモートワークのために追加で購入したものは、物理的なモノも、サブスクリプション的なものも、一切ありません。
■自主的に心がけていること
Google Hangoutとは別に、Slackの#scheduleチャンネル(*)に、仕事開始時と終了時に「Good morning😊」だったり「Offline, see you tomorrow😊」と自主的にメッセージするようにしました。
こうやってリアクションが付くとね、寂しさが紛れるんですよね。
(どんだけ寂しがり屋なんだろう私…)
* Slackの #schedule チャンネルとは
勤怠をシェアするチャンネル。例えば「●月☓日から▲日までお休みいただきます」とか「Grabがなかなか捕まらなくて遅刻するかもしれません」などをシェアするようにしています。
■仕事に対する意識で変わったこと
「短時間で密度濃く働き、目に見える成果を出そう」という意識が強くなったってところでしょうか。
自分の仕事を「人事評価」という観点で評価するのは上司ですけど、まわりの同僚に信頼してもらうには、やっぱり「ちゃんと仕事している」とわかってもらうのって大事じゃないですか。で、Hangout越しに存在を確認できるだけじゃなくて、やるべきことをちゃんとやるとか、アウトプットをちゃんと出すとか、そういうのをものすごく意識するようになりました。
住み込みのメイドに面倒見てもらっているとはいえ息子のことを考えると以前のような長時間労働はできないので、「短い時間(と言っても最低8時間は働いてますよ)の中でどうやって成果をあげるか」というのもものすごく考えるようになりました。
自分都合でリモートワークやってるんだし、昔と比べてハードワークもできなくなったから、その分余計に「密度濃くがんばらなきゃ」って思うし、 「あの人なにやってるかわからない」と思われないようにするってのも大事かも。
■「サボりたくならない?」とよく聞かれるが
「自宅だとテレビもあるしベッドもあるし、サボりたくならない?」とよく聞かれますが、上の写真のようにiPadをノートパソコンの横において、Google Hangoutに常にログインしているから、「自分もオフィスにいる」錯覚を味わえるのと同時に、自分が席を離れていると「いない」というのが一目瞭然。
なので「自分を律する」って意味でも、このGoogle Hangout作戦はすごく効いている気がします。
まぁみんなわざわざそこまでHangout見てないと思うんですけどね。
トイレに行ったり冷蔵庫に飲み物取りに行ったりは普通にしますよ。
あと、日によって「なんか今日すっっごく集中した」って日もあれば、「なんか今日調子が出ないなぁ」って日もあります。人間だもの。
ちらほら休憩感覚でTwitterしたりYahoo!ニュース見たり、ってのはありますね。
iPhoneに「SMAP解散」 みたいなノーティフィケーションが来たら、そりゃぁ気になってニュース見ちゃうよ。
(例が古くてすいませんが)
=====
さて、
ここから先は、リモートワークのメリットデメリットをいくつか書いていきます。
住み込みメイドに子どもを見てもらってる系のメリットはめっちゃありますが、それは書き出したらキリがないし読んでくださっているほとんどの方には当てはまらない話だと思うのでいつか別立てで書くとして、まず今回は「リモートワーク」にフォーカスして書きます。
「リモートワーク自体をやりたくて」というよりは「家庭の事情でリモートワークさせてもらっている」という状況なので、メリデメは私にとっては副次的なものだと思っていますが、参考がてら。
■リモートワークのメリット
1. 通勤と無縁、大雨降ろうが関係ナシ
海外で働き始めてからUber通勤だったり徒歩通勤なんで、混雑した満員電車とはここ5年くらい無縁の生活でしたが、自宅勤務し始めてからはますますラクになりました。だって、自室からリビングへの移動のみなので。
2. デリバリー系サービスをいつでも使える
宅急便ならコンドの受付が預かってくれるけど、スーパーの宅配とか水とかは家に誰かがいなきゃいけないので、めっちゃ助かります。
3. 化粧しなくていいからラク
社会人になって以来ずっと「わざわざ化粧するのめんどくせー」って思ってて、と言ってもせいぜいファンデ塗って眉毛ちょっと書き足してビューラーでまつげをクイッとあげてアイシャドー塗ってマスカラで仕上げるだけなんですが…
あと、化粧したら、夜落とさなきゃいけないじゃないですか…
その一連の作業をしなくてよくてめっちゃラクです。
おかげで化粧品の減りが遅くなりましたwww
4. テキトーな服で全然OK
たまにTシャツにジャージ、なんて日もあります。
なんとなくなんだけど、日本で10年以上社会人やってたからか、さすがにTシャツにジャージではオフィスには行けない…
このあたりのメンタルは日本人なんだろうなぁ。日本人じゃないけど。
でもHangoutだと抵抗ないんですよね。首から上しか見えないからかな。
5. 外を歩かないから日焼けしない
東南アジアにいると、どうしても日焼けしちゃうじゃないですか。
こっちにいるとターンオーバーする間もなく焼けちゃうので黒くなる一方なんですが、それを防げて助かります。
リモートワークのデメリット
1. ちょっとした世間話ができないので寂しい
同僚と世間話ができないのって、何気に寂しい。
部下とは定期的に1on1やってて、そのうちの半分は世間話だったりもするんだけど、それ以外のメンバーとの口頭でのコミュニケーション量は減ったね…
寂しいね…
2. 言語が伸びない気がする
海外だからって話すですが、
英語も現地語も、聞く量・話す量どちらも圧倒的に減ってしまった気がします。
仕事中に無意識に耳にする同僚の会話から「そういう表現もあるのね〜」と学ぶことが多かったし、それを聞いて自分で会話に使ってみたりもして身につけてきたものも多かったので、残念無念…
3. 全然歩かないのでこれからぶくぶく太るかもしれない
車通勤してた頃は、「一日に3000歩も歩いてなくてヤバイ、そりゃ太って当然だわ」なんて思っていましたが、今は3000歩どころか1000歩も歩いていないかもしれません。
2-3日外に出ない、なんて日もありました。
育児で筋トレどころじゃないんですが、もう少し余裕ができたら、ジムでウォーキング・ジョギング・ダンベルトレーニングあたりは再開したいと思います。
4. 同僚のちょっとした変化に気づけないかもしれない
「体調悪そう」とか「失恋して元気がない」とか、そういうのってオフィスにいれば表情だったり声のトーンで薄々察することができるけど、リモートだと察するのが難しい気がしています。
こればかりは仕方ないのかな…と割り切ってます。
おわりに
以上、非エンジニア職の私が実践するリモートワークについて書いてみました。
環境が整っていて自分を律することができれば、リモートワークは可能ですね。私には無理だと思っていたけど、チャレンジしてみてよかったです。
「住み込みメイドに0歳児の息子の面倒を見てもらいながら働く」という点に関しては、日本だとそもそも住み込みのメイドが一般的じゃないので書いてもあまり読まれない気もしますが、個人的には「リモートワーク x 仕事中の息子の面倒は住み込みメイドに」って想像以上に最高の環境だと気づいたので、こちらの切り口についてもおいおい書いてみようと思います。
もはや
「共働き夫婦が、住み込みメイドを雇って家事をアウトソースしながら子育てする」
を目的に海外移住してもいいくらいだと思います。
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